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「おでん屋さんでのいざこざ」に見るマネジメント・システムの考え方

ある「おでん屋さん」での出来事です。

年配のグループ(男性3人女性ひとり)が楽しくおでんを食べながら飲んでいるところに若いグループ(30前後の男性一人と女性が二人)が隣の席に着きました。若い男性がタバコを吸いだすと、しばらくして隣席の年配男性から注意がありました。「(煙が)苦しいのでタバコをやめてくれないか」若者はにわかには理解できなくて気色ばみました。「なんでだよ。ここは禁煙じゃあないんでしょ」しばらく沈黙が続いて年配の女性が優しく諭しました。「(お店は)禁煙にはなってないけど、あなたのタバコの煙が直撃しているのよ。控えてもらえたら嬉しいのだけど」若者は「分かりました」と言って煙草を消しました。

年配者グル―プが帰るとき、件の男性が若者に謝ります「さっきは悪かったね。風邪を引いていて喉が悪かったし、本当に苦しかったんだ。もう吸ってもいいよ」。若者も気持ち良く「先ほどは申し訳ありません。きょうはもう吸いません」。

これでこの話は一見落着です。
しかしよく考えてみると、まさにマネジメント・システムの欠点が簡潔に見えてきます。

お客さん同士でいさかいが起こるのはマネジメント・システムでいえば現場のTier‐4レベル(現場レベル)の争いなのです。同じようなことはどこかでいつでも起こる可能性があります。けんかや言い争いにならなくても、心の中で不愉快に感じ、本当に苦しいのを我慢している人も多いはずです。

一方、お店のマスターにとっても「カウンターの中にいてタバコの煙は自分もつらいのです。でも、周りのお店が禁煙にしてないので、お客さんが逃げては困るので、うちも喫煙を許しています」となっているのです。もし、このお店が「禁煙の店」として営業していれば、お客さん同士のいさかいはなくなります。また、煙を嫌って足が遠のいていたお客さんも、戻って来るかもしれません。お店のマスターが禁煙を決断することはTier-3レベル(責任者レベル)に相当します。筆者の個人的な感じでは禁煙に踏み切ったほうがお客さんも、より集まるのではないかと思います。

しかし、この店のマスターが言うように近隣他店との競争という点で、禁煙に踏み込めない気持ちもよく分かります。さて、ここでアメリカの多くの州や神奈川県の事例のように州や都道府県で飲食店での禁煙を条例化すれば、お客様同士のいさかいも、店のマスターの心配もなくなります。何より人々の健康が保てます。この決断がTier-2レベル(統括責任者レベル)です。

さらに国が法律で決めたらいかがでしょうか。それがアイルランドやイギリスの事例 です。イギリスでは1990年代から飲食店での禁煙が叫ばれていましたが、バーとタバコが付き物のように、イギリスでの禁煙は絶対無理といわれていました。ところが近隣国であるアイルランドが2004年に禁煙法を批准してレストランやバーでの禁煙を決定したのです。アイルランドで、できてイギリスがで、できなことはないと2007年に禁煙を決めました。まさに国で禁煙にするTier-1レベル(国、または、最終責任者レベル)の選択をしたわけです。

このように、マネジメント・システムの上位概念が明確になることで、相当な無駄を省くことができます。我が国では上位概念が定まらないために企業や個人の現場レベルに、あらゆる決断がゆだねられているケースが多々あります。

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